任意整理後の返済が遅れたり、滞った場合はどうなる?2回目の任意整理はできる?

「任意整理をしたものの、やっぱり返済できない…。」このようなご状況になってしまうお客様は少なくありません。 

任意整理後の返済期間は概ね3年~5年です。この間にリストラや倒産、病気、怪我など、予期せぬ事態が起こることもありますし、家計の改善がうまくできなかったなど、ご事情は様々です。

では、任意整理をした後に返済ができなくなった場合はどうすればいいのでしょうか。今回はその対処方法について解説していきましょう。

返済が滞るとどうなる?絶対にやってはいけないのは「放置」

もしも、任意整理後の返済が遅れてしまうと、どうなるのでしょうか?

その答えは和解書に記載されている「懈怠約款(けたいやっかん)」によって定められています。ここに、返済が滞った場合の条件が定められており、概ね下記の条件が盛り込まれていることが多いです。

  • 返済が2回以上滞った場合は、一括返済
  • 返済が2回以上滞った場合は、年○○%の遅延損害金が発生する

例えば、100万円の借金に対して任意整理を行い、将来利息の免除と60回分割の条件で和解が成立したとします。しかし、和解後しばらくは返済を続けていたものの、残高が60万円まで減ったところで返済が2回滞ってしまいました。 

この場合、債権者は残りの60万円を一括返済するように求めることができます。さらに、残りの60万円をすべて返済し終るまで、年○○%の遅延損害金が発生します。

返済が苦しくなっている状態で一括返済を求められても、支払うことは困難かと思います。しかし、返済できなければ遅延損害金が積み重なってしまいます。これでは借金問題が振出しに戻ってしまいます

そして、ここで絶対にやってはいけないのが「放置」です。返済が苦しくなった段階ですぐに認定司法書士や弁護士に相談しましょう。 

任意整理をしたのに返済ができなくなったとは、なかなか相談しづらいかと思います。しかし、何もしないまま借金問題を放置してしまうと、債権者への心証が悪くなってしまい、再和解の交渉など今後の対応にも悪影響が出かねません。

任意整理後の返済が滞ったからと言って、借金問題の解決方法がすべて無くなった訳ではありませんので、まずは当事務所にご相談ください。 

では、次の項目で具体的な対応方法を解説していきましょう。

再和解:債権者ともう一度交渉を行う

任意整理の和解が成立した金融会社に対して、もう一度、和解交渉を行うことが可能です。これを再和解と言います。そして、この再和解を行うことで崩れた返済計画を立て直すことが可能です。 

1回目の任意整理ですでに将来利息を減免してもらっているため、月々の返済額を大幅に下げることは難しいですが、残っている債務の分割返済を交渉することで返済計画を立て直します。

例えば、総額300万円の借金に対して任意整理を行ったとします。その結果、将来利息の免除と60回分割で和解が成立し、月々5万円ずつ返済していくことになりました。しかし、この返済が1年後に滞ってしまいました(残高240万円)。 

このような場合に再和解を行い、遅延損害金の減免と分割回数について交渉を行います。

交渉の結果、遅延損害金が免除され、60回分割で再び返済を継続する条件で和解が成立した場合、月々の返済額を4万円に減らすことが可能です。

ただし、再和解の条件は各金融会社の対応、これまでの返済状況によって異なります。任意整理の和解後に一度も返済をしていない、延滞したまま長期間放置してしまった場合などは、再和解の条件が厳しくなるケースもありますし、すべての金融会社が再和解を受けてくれるとも限りません。

追加介入:手続きをしていない他の債権者の任意整理を行う

「任意整理をしたけど、やっぱり返済に行き詰ってしまった。」という方に時々見られるのが、任意整理をした借金以外にも借金を抱えているケースです。 

例えば、下記のようなご事情から一部の借金を任意整理の手続きから除外するケースがあります。

・借金の残高が少ない債務
・取引期間が短いため和解が見込めない
・ローンが残っている商品を引き上げられたくない
・よく使う銀行口座が凍結されると困る
・カーローンに影響を出したくない

手続きから除外した債権者のカードをついつい使ってしまい、借金を増やしてしまう方がいらっしゃいます。そして、その借金の返済の負担が大きくなり、結果的にすべての借金の返済が滞ってしまいます。

このような場合に、追加で手続きを行うことで借金問題の解決を図ります。後から追加で手続きをした借金の返済額を下げることができれば、返済計画を立て直すことが可能です。

時々、「2回も任意整理ができるの?」とおっしゃる方がいるのですが、任意整理に回数制限はありません。また、1回目の任意整理の際に手続きをしなかった債務に関しては【2回目の任意整理】ではなく【1回目の任意整理】という扱いになりますので、手続きができない、和解条件が厳しくなる、と言った制約を受けることもありませんのでご安心ください。

※再び借金を増やすことのないように、アヴァンス法務事務所ではすべての債務を手続きの対象に含めていただくようにお願いしております。

個人再生・自己破産を検討する

再和解や追加介入では返済計画を立て直すことができない場合は、裁判所を通す「個人再生」「自己破産」を検討されたほうがいいでしょう。

個人再生の仕組み

個人再生とは、裁判所に申立てを行い、債務を概ね1/5もしくは100万円まで圧縮し、原則3年で分割返済していく方法です(稀に5年分割が認められる場合もあります)。 

任意整理の場合は、元金自体を減らすことはできませんが、個人再生の場合は元金自体も減額されるため、借金を大幅に減らすことが可能です。

また、個人再生の大きな特徴として住宅資金特別条項があり、この特則を使用することで住宅ローンを維持したまま、それ以外の借金を減額することが可能です(利用条件あり)。

自己破産の仕組み

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、すべての債務の返済義務を免除してもらう方法です。

自己破産をすると「全て取り上げられて無一文になってしまう」と思っている方も多いのですが、裁判所の規定内の生活に必要な家具・家電などの財産や99万円以下の現金を残すことが可能です。

返済計画を見直しても、個人再生をしても返済の継続が難しい場合の最終手段と言えるでしょう。

まずは早めの対応が肝心です!

任意整理後に返済が滞ったからと言って、借金問題の解決方法が無くなった訳ではありません。むしろこのまま借金を放置してしまう方が状況の悪化を招いてしまいます。

延滞を放置してしまうと、遅延損害金が膨らみ、借金が増える一方です。また、督促の電話や郵便も再開されるでしょう。こうなると借金問題が振出しに戻ってしまい、せっかく任意整理の為にかけた費用と時間が無駄になってしまいます。

「任意整理をしたのに、やっぱり返済できないなんて言えない…。」と、相談するのも気が引けてしまうという方もいらっしゃいますが、気にせずご相談ください。早めにご相談いただければ解決できるケースも多いです。

まずは、早めにご相談下さい。

別の事務所で任意整理をされた方でも、すでに委任契約を解除されているのであれば問題ありません。再和解の交渉、方針変更など解決方法をご提案させていただきますので、お気軽にアヴァンス法務事務所にご相談ください。

※闇金や給与ファクタリングに手を出さないでください。

任意整理後、数年間は新たな借り入れが難しくなります。しかし、どこからも借りられないからと言って、闇金や給与ファクタリングには手を出さないでください。法外な利息を取られ、余計に借金問題の解決が難しくなります。

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